リトルブレイン/おまる
感興をそそる。住宅街にひとつだけ、浮き上がったような前衛的な建築があったり、袋小路に、場違いな大豪邸があったりすると、呆れたのか感心したのか、何かため息が出てくる。そこで生きている人々がいる。異次元の日常を垣間見るような。
恵比寿のレストランで食事を済ませ、女の子がすっかり和んできたら「勝利の方程式」を発動させる時である。アクセルを踏み込んで首都高から川口方面へ疾走し、そして楽しげな会話から一転、何の前触れもなく、車は突然Uターンし、煌びやかなモーテルへ吸い込まれていくのだ。
「えっ」
「大丈夫だよ、ちょっと休むだけだから」
「えっ、えっ」
「だいじょーぶ、おれにまか
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