きよせかわせ清き夢/ひだかたけし
うずまくうちゅうの
端っこにして
まん真ん中、
川瀬さんを背負い
ずぶずぶ泥濘む
薄闇のこの土地を
足もとに気をつけてと
背後から鋭くも温かな声
一歩間違えると
ずるっと土の崩れ沈み込み
ずぶずぶ深みへ深き闇へ
ずんずん深淵の呑み込み来て
気をつけて気を抜かないでと
背後からの声を励みにし
一歩一歩慎重に足運び
右へ左へ寄れ曲がりつつ
薄暗がりの視界の中を進みいけば、
ぽっと薄紫の明るみ訪れ来て
辿り着いた硬きこちら側の大地
ほっと息をつき
川瀬さんを背から下ろせば、
ぽわんすぅうと
夜の明ける
そうして自ずと
手と手を取り合い
仄か小さな柔ら
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)