45度の世界/ミナト 螢
誰かと比べて
落ち込んだら
ただ知らないフリを
するしかなくて
横顔しか見せない
マネキンみたいに
目をそらしていた
照り付ける太陽の下
眩しさに後ろめたさを感じながら
光に選ばれた世界で
沈黙を続けてる
一度もぶつかったことがない
そんな壁の前で
腕を組んだまま
影になるにはまだ早過ぎる
夏だけが逃げていくのを
名残惜しそうにして
踵を踏んだ
斜め45度の世界に
果てしなく広がる空で
泳ぎたい
何も聞こえない
何も分からない
重量に逆らって
心は浮かぶ
逃げ切ることなんて
出来なくても
このやけに軽い気持ちは
月のように歪だな
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