野火/guest
戦火の焼け野原で
そこに天国があると聞いたから
私が殺した人の死体を埋め
空を見上げた
彼は私を殺そうとした
同じことをされても仕方がない
でも
私は生きていたいと思わなかった
独り言が続く
声に出すことすら億劫だ
じゃあ、何故殺してまで生き延びようとした?
家族が居たからかな?故郷の友達を信じたかったからかな
お前、お前が死んでも構わないんだろ?
誰かが私を殺す
支離滅裂になった心を両手で掬い上げて
なけなしの理性が歌う
空の上に楽園はなかった
私の心の中にだけ咲く花
言葉を置いては城のように積み上げた
いつか現れる王様を護る為の砦
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)