サロメ/guest
もとても悲しい気持ちだった
綺麗だと言うと怒った
美しくは無いよと言うと嗤った
月の晩
私はもう何処まで行っても君がいないことを直感していて
一番好きな木の陰に座り込んで泣きながらサンドイッチを食べた
海鳴りのように心臓が脈打っているのが聞こえる
月の晩
血が流れることさえ君は何の価値もないと信じて疑わなかった
君が何処までも飛んでいけるように神様にお願いしたかったけど
人間に翼はないことを知らずにいられるような年ではないのだった
嬉しそうに笑う君の顔が見たかっただけなのに
君は見付からなかった
もう誰にも見付けることが出来なかった
月の晩
私はもう二度と君に会えないと分かっていたのに、それでもわがままを言った
私のサロメ
ヨナカーンは彼女のことを最期に愛しい恋人と呼んだだろうか
この青褪めた首に口付けて愛を囁いて欲しいんだ
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