終わり続ける夏の日/ホロウ・シカエルボク
 
歩いて帰りたかった、結局あとは雨次第ということだ、僕たちはしばらくの間黙って空を見上げていた、人気の無いところでそうしていると、自分たちが世界と大きく隔絶したところで存在しているような気分になった、でもそれは決して悪い気分じゃなかった、それはどちらかと言うと僕にとっては理想の世界だったのだ、彼女は嫌がるかもしれないけれど、こういう風景ってなんだか歳取ってから何度も思い出す場面になりそう、と、不意に君が呟いた、なにそれ、と僕は笑いながら訊く、あるじゃない、どうしてかわからないけどずっと覚えてる景色って、と君も笑って言う、私、赤ちゃんよりちょっと年上くらいの小さな頃にどこかの家の玄関で同い年くらいの男
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