I FEEL FOR YOU。/田中宏輔
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スタンダールの未完成の作品であった。そのさいごの部分で、引用だけが延々と書きつづられる予定のものであったということを知ったときに、こころに決めたのであった。ぼくが28才のときのことであった。さいしょにつくった全行引用詩は、「聖なる館」というタイトルのものであった。
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「マールボロ。」が、ぼくに、「詩とはなにか」、「自我とはなにか」といったことを考えさせたことは、『理系の詩学』でも論じていたのだが、ここでも論じておこう。これが、ぼくの体験ではなく、ゲイの友だちの体験記を、ぼくがコラージュしたもので、ぼくの言葉がいっさい入って
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いな
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