I FEEL FOR YOU。/田中宏輔
 
をしながら、恋人がタラップを駆け上がるのを見ていた。なぜ、ちょっとしたことでも照れくさく思うのだろう。ちょっとしたことだからだろうか。


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「ちょっと、すいません。堀川病院へは、どう行ったらいいですか?」ハーフパンツ姿の青年に声をかけられた。堀川五条のブックオフから出てきたばかりのぼくは、さいしょ何を訊かれたのかよくわからなかった。青年は、さま〜ずの三村のような感じだった。ぼくが目を


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大きくあけると、青年は、自分の携帯の画面をぼくに見せながら、つぎつぎとメールを見せていった。3つ目か4つ目のメールを見て、ぼくにも事情が呑み込めた。「堀川病院の角
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