I FEEL FOR YOU。/田中宏輔
 
剥き出しで、薄い皮がタバコの


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巻紙のように、その子どもの人差し指のようなウィンナーを包んでいたのだった。いくつくらい入っていたのだろうか。せいぜい10個ほどだと思うのだが、そのウィンナーを食事のときに食べた記憶はない。ぼくの家では、他人も食卓につくことがあったので、食事の用意はお手伝いの


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おばさんとママの2人でやっていたはずで、そんなものが出てくるわけがなかった。しかし、そのウィンナーの味はおぼえているし、パパが好きだったこともおぼえているのだった。しかし、記憶の欠落について思いを馳せても仕方がないし、そもそも書こうとしていたことと、そのウィ
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