98番目の誘惑/林 理仁
 
98番目の誘惑 小説

朝6時に起きた安藤紗耶は、いつものように身体の中に魔のような闇を感じた。仕方ないのでまたいつものように小説を読む。すると不思議なことにその闇は気になるほどではなくなるのだ。

テレビをつけると不穏な内容のニュースばかりが流れており、大人の世界は一体何を考えているんだろう、という気持ちになる。

安藤紗耶は今年十六歳だ。最近、自分の身体のあらゆる場所が妙に膨らんでるように感じる。さほど気になるほどでもないのではあるが。

高校に行くのは辛い。だけど、高校に行ってれば、とりあえず、ぼんやりとした未来に、ぼんやりと希望が持てる気持ちになる。

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