胸のしゃぼん玉(改稿)/唐草フウ
 
いつもの会釈にお決まりの挨拶
それにあとひとこと
胸につかえたしゃぼん玉を ひとつ
ことばに込めて放ちたい

世間話にも地雷はあるかなとか
ぜんぜん気の利いたことでもなく
毒にも薬にもならないような
つまらないことだったとしても

喧騒の壁にむかって
ぶつかれば もじもじとおじぎだけで
吹く前にしゃぼん玉は割れてしまうから

少しだけ 少しだけ
いま胸のゲートをあけて まあるく吹き込んだこと
今日が終ったとき からだから空へ上った色を思い出せるように



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