夏の鮮度/本田憲嵩
 
数日前に茹でてタッパーに詰め込んだ、冷たいそうめんをとりだして食す。もうだいぶ硬くなっているほそい面、たいぶ新鮮味のなくなっている細かく刻んだネギ、ふにやふにゃの刻み海苔、氷を入れてかなり味のうすくなっためんつゆが、この終わりかけている夏になんともさびしく重ねってくる。味わい。――ふいに秋の風に風鈴のなる音がする。


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