胸のしゃぼん玉(初稿)/唐草フウ
 
会釈と定型のあいさつに
あとひとつ何か言って
少しだけ 少しだけ
つかえたしゃぼん玉を空に放ちたい

その話は地雷かなとか
ぜんぜん気の利いたことでもなくて
毒にも薬にもならないような
たぶんつまらないだろうけど

いつも壁にむかって
おじぎだけして
しゃぼん玉を吹いているから

少しだけ 少しだけ
いまゲートをあけて
今日が終ったとき虹色を思い出すように





戻る   Point(17)