LIVING IN THE MATERIAL WORLD。/田中宏輔
 
なりたいなあと思ったものの一つに、画家というものがあるということを、以前にも書いたと思う。小学校に行くまでの幼児のころには、畳のうえにまで渦巻き模様を描いていたらしいし、覚えているかぎり、ボールペンを手から離さない子どもだったらしいのだ。


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直接のきっかけは、小学校四年生のときに、動物園での写生会で、ぼくの描いた絵が、京都市主催の絵画コンクールで入賞したことであった。豹の絵を描いたのであった。動物園の飼育係のひとが檻のなかを水を撒いて掃除したあとの、コンクリートの床の中央のくぼみに溜まった水に映った豹の顔を描いたのであった。


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小学校高学年のとき
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