LIVING IN THE MATERIAL WORLD。/田中宏輔
人生をそういうものにしてくれている。それでいいのだとも思う。プライム・タイム。どんな状況にあっても、ぼくはいつも、ぼくの人生最良の日を生きているようだ。詩人とはかくも不幸にして幸福な人間なのであろう。
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数秒後に、なんて言ってほしかったのか悟る。電話が切れたあとで。恋をしていなくてもバカだけど、恋をしているとよけいにバカなぼくだ。だから、詩など書いているのだろう。恋をじょうずにできるひとは、詩人になんてならないんだろうな。これは、バカな自分に対する、ちょっとした慰めの言葉、笑。
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そして、その言葉を電話では伝えることができなくて、メールに書いて送
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