LIVING IN THE MATERIAL WORLD。/田中宏輔
 



のだろうか、姿が見えない。十分に温まっただろうか。料理用鉄板にオリーブオイルをふりかけた。十分に温まったようだ。オリーブオイルの弾ける音がして、焼ける匂いがして、たちまち湯気のように蒸発していった。わたしは、鉄板のうえに立って、さっと身を横たえた。ジューという


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音がした。全身に、その音がしみ渡る。音が小さくなり、十分に焼けたと思われたころに、身体の反対側を鉄板にあてた。ふたたび、ジューという音が全身にしみ渡った。音がしだいに小さくなっていく。空には雲ひとつなかった。わたしは、料理用鉄板から降りて、庭椅子に腰かけた。


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リス
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