COME TOGETHER。/田中宏輔
ないことの意味解釈をすることができる
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のである。なぜなら、物書きとは、つねに、語の意味の更新に寄与する者のことであり、過去の意味と現在の意味の蝶番であり、現在の意味と未来の意味の蝶番であり、過去の意味と未来の意味の蝶番であるからである。
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対象のあいまいな欲望。
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空には雲ひとつなかった。草を食んでいた牛たちがゆっくり溶けていく。アルファルファの緑のうえに、ホルスタインの白と黒が、マーブル模様を描いていく。木陰でうなだれていた二頭の馬は、空気中に蒸散していく。風がないので、茶色い蒸気が小さな靄となって漂っている。
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