COME TOGETHER。/田中宏輔
〇
芭蕉の「命二つの中に生きたる桜かな」という句がある。このこと自体は現象学的にも事実であろう。しかし、このことに気づき、言葉にして書きつけることは、認識であり、表現である。しかもその表現はきわめて哲学的であり、認識というものの基本原理となるものである。
〇
機械の腕は、卷ねじをタグに引っかけると、くるくると缶詰の側面から長方形を巻き取りながら、卷ねじでパキンと垂直に折った。そして、頭蓋骨をはずすと、脳を取り出して、缶詰のなかの脳と交換した。頭蓋骨をはめられてしばらくすると、ぼくの目がだんだん見えてきた。
〇
夢は彼女を吐き出した。まるでチ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)