COME TOGETHER。/田中宏輔
た。でも、ぼくのけさの夢のなかでは、父親は、ぼくのパパは、死んだときの71才の老人の
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姿ではなかった。そうだ。いつも、父親は、ぼくのパパは、いまのぼくより若いときの姿で出てくるのだった。踊り出したりはしなかったけれど、海水のチューブを腕につけてはいたけれど、元気そうだった。なぜ、海水の流れるチューブを腕にしていたのだろう。腕だったと思う。
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それとも、おなかだったか。仕事帰りに、乗っていた阪急電車のなかで、広告に、お笑い芸人さんなのかな、お昼の番組で司会をしているサングラスをかけたひとが、新しいステージに、と英語で書かれた文字の後ろで、にやつい
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