詩の水族館/ハァモニィベル
 
とする〈葦平〉


微かに残っている漁村の匂い。
伊豆のI温泉。
南国の冬の海に陽光が燦々と降っている。
ここでは、いくらでも新鮮な珍しい魚が手に入る。
沢山の雑魚も並んでいる。
一杯に並べられていたその色彩の美しさに驚きの眼を見張った
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海といっても
魚の棲息する所は、海面に近い所か、海の底と、決っているように聞いていた。
だが
実際、金属球で沈んで行くと、
各層で色々不思議な魚に遭う。
千メートルの海底といえば、水圧は百気圧を越えているはずで、
しかも日光もほとんど届かぬ永遠の闇の世界である。
そのような所にある怪物の世界の姿を想像
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