詩の水族館/ハァモニィベル
れあがったままで怒っている。
河豚は生きているのよりも、死んで二日経ってからの方がおいしい。〈葦平〉
イイダコはあまり深くない砂地のところにいる
エサはなにもいらない。なんでもかまわない。白色のものさえあればよい。
ネギの白味、茶碗の欠片(かけら)、白墨など。
沈めておくと、タコはその白いものに向かって近づいて来る。
食べに来るわけではなく、
どういう考えか知らないが、白いものの上に坐るのである。
そこで、サーッと引くと、タコはカギに引っかかってあがって来るのである。
引きあげられたイイダコは怒って、黒い汁を吐く。
そして、八本足で立って歩きながら逃げようとす
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