白髪/
鯖詰缶太郎
を真っ赤にして殴りつけていた
硬質な冷たく無限に視界を阻んでいた
壁にあまりにも似ているんだよ
そのものだろうか
あまりにもそのものだろうか
利き腕だけが
卑怯者になっていくのだろうと思っていた
心臓を塗らなければならない
このままでは人の心臓に見えなくなる
夜に紛れたわけではなく
黒目の元々の形を思い出そうとする時間だと
思いたい
やわらかい心臓が
まだ私の中で脈を打ってくれているというのなら
朝を眩しく感じたいと
双眸は、にじむのだ
戻る
編
削
Point
(5)