人間の解剖は猿の解剖のためのヒントである/室町 礼
なんかこう
カラダが捻れてくる
骨格標本に抱かれた
駄々っ子のように
裏声で
歌いたくなる
カラダを貫く骨が
一本の鉄筋のように
ピンと
ほらピンとなる
となる
とカブキ者のように
大見得切りたくなって
さあ殺せ
殺せよ
壁面にあけられた穴から銃口が一斉に
照準を合わせているのはわかる
だれも味方ではないし
だれも救けてくれない
だれも言葉が通じない
そんな泣き言を千年
口角の泡は
蒸発してきた
金魚のように口をぱくぱくさせて
引き裂かれても
やつらは笑っている
そしてもういっそ
やつらに
殺させたいような気になる
高い城壁を今からよじ登り
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