自?する蝸牛。/田中宏輔
 
みどり}色の{ルビ文字=もんじ}となつて
墓石に刻まれる。

──死の棘は罪である。***

しかり。
罪とは言葉である。
言葉からわたくしが生まれ
そのわたくしがまた言葉を産んでゆく。

自?する蝸牛。
屑屑(せつせつ)と自慰に耽る雌雄同体(アンドロギユヌス)。
両性具有(ふたなり)のアダム、悲しみの聖母マリア(マテル・ドロローサ)。

日毎、繰り返さるる受胎と出産、
日々、生誕するわたくし。



*: Psalms 58.8   **: 1 Corinthians 15.55   ***: Corinthians 15.56



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