深い陥穽に墜ちたとは/積 緋露雪00
転するから俺は参ってゐるのか、
それとも俺が七転八倒するから俺が参ってゐるのか、
最早その区別すら出来ずに、
呻吟する俺の魂魄。
さて、さうしてゐる間も
俺は俺の陥穽として現はれた黒点の底知れぬ底へと
墜ち続けてゐたのであるが、
尤もその堕落が落下なのかどうかさへ解らずに
不快な浮遊感ばかりが感じられるのだ。
この宙ぶらりんな俺の状況を
最も知らなければならぬ俺は
その宙ぶらりんの俺の二進も三進もゆかぬ状態を
むしろ楽しんでゐるのだ。
哀しい哉、
俺の性は地団駄を踏む事を愉快と思ふ事なのかもしれぬ。
だが、一度でもいいから外部に向かって叫び声を上げる事をし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)