たとえば 青空とか/ただのみきや
 


あの日はかなり青空に近かった

そうあと一歩で完全な青空ってくらいに

本当はね 青空なんてイメージにすぎないのさ

たとえ宇宙ステーションから青い地球を見下ろして

詩を書いたって

僕らのこころの中にある青空への憧れには届かない

生と死の境みたいな

存在を溶かしてしまうような

永遠の入り口みたいな

あの青い茫漠を求め

僕らは永遠に完成しない

ことばを連ねバベルの塔を築き続けている

神の怒りを買うほどに

ことばで固めた虚構の翼を駆って

青空へと漕ぎ出して

落ちて 墜ちて ただ堕ちて

死に続けている 僕ら
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