スウィート・ホーム/たもつ
 


屋根のない部屋で一人
雨にうたれながら
朝食をとっている
ご飯も僕も水浸しになって
それでも今日の活力のため
食べ続ける

新築の家だったのに
とんだ設計ミスだった
隣を見ると
柱も壁もない部屋で
君が頑張って屋根を支えている
食べ終わるまでもう少し待ってね
まだ大丈夫、アーンで食べさせてもらおうかな
いろいろと大変だけれど
そんな些細な日常が
愛しく感じられた

十数年が経ち
柱も壁もない隣の部屋から
屋根を持ってくれば良いのだと気づいた
すべてが揃った快適な部屋で
どうしてだろう
君だけがもういない


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