ストロボライト/ひだかたけし
都市のざわめき人混み逃れ地下一階へ
降りて橙に明るむ喫茶で静か鎮まり横並び
貴女の声の響き段々色付き始める瞬き驚き
まるで此の世の涯てに呑み込まれていく迄
美しさ帯びとっくにオトギ噺してんだって
気付いてももう手遅れに全ての無常向こう
透明に澄んで意味と無意味との境すら超え
暮れなずむ空に夜明けの光を観るような
夜明けの光に暮れなずむ空を観てるような
朝焼けなのか夕焼けなのか判然としなくなり
時空の逆さまぐるぐる反転し次第に引き延ばされ
消えていく消していく貴女のイノチの音色帯び響く
瞬き瞬く間に都市の濁熱の雑踏を天空色に染め抜いて
あゝただ愛してると
貴女の抱える世界の真白い手握り締め交差点を渡る
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