緑の島/杉原詠二(黒髪)
 
ゆるものが
地上を離れている
地上脱出
しかしいつか戻る
わたしの犬の魂は
どこへ行ったのだろうか
緑の草の覆う
畑の端の方に埋めたよ
川の流れを聞きながら
人の美しさよ
愛の輝きが太陽としてのぼるよ
東から
緑は悲しげに大地を覆っている
繁茂する草木に永遠の祝福を
わたしは犬の代わりに祈るよ
緑内障
緑色に覆われると
眼は見えなくなる
悲しい病をしょって
人は生きてる
緑の眼は
眼圧を高め
頭痛を引き起こし
人を圧迫する
人を超えた緑よ―
ゆらめく緑の天王星
そこにもいつか緑が芽生えるかもしれない
酸素が作られて
命が育っていくのかもしれな
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