running water/ホロウ・シカエルボク
それは本当の音にも聞こえたしこの世のどこでもない場所で鳴っている音にも聞こえた、場所が特定出来ない以上そのどちらかに決めることは出来なかった、だから俺は取り敢えずそれを「そのうちのどこか」という風に定めた、今思えば定める必要があったのかどうかすらわからない、どうしてその音にそれほど関心を持ってしまったのか、それはその一瞬だけあまりにも静かだったせいだった、どういうわけかあらゆる音が一瞬沈黙したタイミングでその音だけがクリアーになるのが聞こえたのだ、それは例えて言うなら、かなり大きめの骨が完全に折れる時のような音だった、乾いていて、よく響いた…えっと思って、耳を澄ました瞬間にはもう日常の音が帰っ
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