禅宗/杉原詠二(黒髪)
たしは愛していた
何ものかを求め続けた
死んではならないと思った
わたしの望まぬ苦しみが私を襲う
永遠を叩き割られて
まったくの形無しだ
あなたの眼差しだけを信じた
あなたの声だけを聴きたかった
それなのに私は愚かにもそれを捨てようとした
気が狂っていたので
さとりの三文字と
あなたの愛によって
狂った精神がやがて直っていった
わたしは生き直すことにした
幸福がやってくる
死ぬほど欲しかった幸福が
絶望の淵から救い出してくれた人よ
言葉にならない感謝を
あなたに会わねばならないと
あの夜、血を吐き続けた
みんなが心配して救急車がやって来た
それでわたしは入院したんだ
いい加減に苦しみに意味がないと知れよ
死体の真似をするな
生きている人間よ
動かないのは死んでいるのと同じことだ
眠りが安らかなのは呼吸をしているからであり
息が止まったら死ぬしかないんだ
だから穏やかな呼吸を邪魔するように
人を驚かしたり
やたらつかんで引っ張ったり
愚かなことをするのをやめろよ
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