夏の扉の香り/秋葉竹
カーテンが朝の光を
すこし遮れないので
うす青い薄氷が部屋に入って
初めてのあの日を想い出す
なんだかその清らかさに
笑えて来たりして
夏の朝はそれでも
なに蝉か知らないけど
バカ丸出しの鳴き声がケバケバしく聴こえる
なにもかもが淋しい考えが
降り頻る鳴き声を正しく理解し
慌ただしい光の帯が争いの無い世界を目指す
鬼面の逆光に
愛を感じるセンチメンタルな朝に
瞼を閉じる闇を救う愛がそこでは
木洩れ陽の暖かさが
心の氷を溶かす虚像の愛がそこでは
螺旋のように全てを赦そうとするだろう
夜に、なれ。
夜にさえなればまた静かで怠惰な
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