さめる/
栗栖真理亜
まるで暑い湯がいっきに水に変わるように
夢は弾けて消え失せる
優しく包み込むような幸福感溢れた夢でした
他人を思いやることなど一生ないと思っていたのに
いつのまにか利他の心を学んでいた
目の奥の冷めた光のなかに疑心暗鬼が棲みついている
思わず飛びすさりながらもう一度見返せば
何事もないかのような少しばかり歪んだ空間が
私を見下すようにせせら笑っていた
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