アニマ/みぎめ ひだりめ
 
指先をつたう 雷鳴
かかる
雨のなか 歌う少年
六弦に潜む 幽霊
誰か 聞こえねぇのかな

生きる希望と やらに ぶら下がる
縫われた からだで 息を吐く
風とともにぜんぶ剥がれて
この夏も じきに終わる

青い前髪が きらきらひかる
揺れる雲 とおく 蝉 時雨
純粋な憎悪 なんて知らない
誰に向けたらいい

芸術が 人をつらぬくのなら
吐き出したことも 意味があるんだろ
言葉が 世界になり得るのなら
誰だって 救われればいいのに

優しさなんか すりぬけて
白く伸びた その指先が
ひどいくらい 懐かしくて

永遠になった 少年
うだる
言葉さえ 鳥になって
からからと 歩く幽霊
誰かに 聞こえたらいいのに

雨のなか 咲いた雷鳴
かかる
音も ただ空を飛んで
懐かしむように 抱いて
誰かが 聞いてたらいいのに
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