詩想、ゼロ地点5/ひだかたけし
人、いつか気付けば雪原に独り
何ものかに見られていると
怯え震えつふと見上げれば 、
巨大な眼差し、黄金の眼光放ち
夜陰の大空にびっしりと
定められた位置に静止しつつ
寒風の狭間に揺らぎ降って来る
ただひたすら立ち尽くす人を
ただひたすら眼差す巨大な眼 、
真に剥き出しの宇宙なるもの
初めて実感し意識した人、
星々の光輝に只々震え畏れ
巨大な静かさ内包し
己を凝視する何ものかに
唖然と凍り付き立ち尽くす
自ら背負う過去すら全て見透かされ
気付けば独り放擲された雪原に
畏れ慄きつ己が身を委ね帰依する他
人の今に在りよう無き地点に至り
真の自由と責任を識る、総て全ての事始め
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