冷たい雪の夜/黒髪
 
長い旅になった
疲れて
腰を下ろした

空からひらりひらり
悲しみに包まれた夜に
白い粉が降りかかる

旅人は永遠とつぶやいた
涙で眼が濡れている
不可能と思われた視界の中に
収まった無限が
私たちを祝する

白い息を吐いて
旅人は手で口を覆う
感激の涙が溢れ
嗚咽する
心がいっぱいになる
私たちの生きている世界は
何という美しさだ

星の光の
ゆらぎが
空をぼやかせる
空は確定しない
ものは高いところから低いところへ
でも空は下りてくることはない
ただ白い雪ばかりが降ってくる

雪の夜は
夜の黒と
雪の白
闇の中でも
雪は汚され
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