続いていくのかな/そらの珊瑚
 
 「氷」

口のなかの体温で氷がほどけていく

世界が終わるかのような
とどろきを上げて
北極の氷山も海にくずれおちていく

さよなら

夏の真ん中で
わたしが失ったのは
透明な
ひとつの瑞々しい氷


 「みんなさみしい」

日が沈んだあとの
はじまりのような
おしまいのような
場末のストリップ劇場の
緞帳のような空に
黒い鳥の群れがゆく
やがてそれらは隊列を組んで
大きな鳥のかたちになった

ふるさとの川に
紙のひとがたを流す
ここから
そこから
過ぎ去った日々からも
ひとがたは流される

小さなひとがたが
よりそいあえば
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