夜鶯の声/matirius
 

そんなに弁が立つのに
なぜ教えてやらぬのか?
荒れ狂う激情をじっと堪えるがいい
自然に逆らって流れる川も、やがては引き
塵泥(ちりひじ)もやがては底に潜り
やがてささやかな水面が浮かぶもの
蝶や羽虫がそこに憩うように
うつろな魂にも、やがては
いのちが降り来たることを

私より後の世に生まれ
あなた方の罪を背負って
罪なく死んでいった男(ひと)
古の神々にくびきをかけ
ただひと柱の神のために
死んだ、ひとり子
あなた方がその苦しみを
歩む気がないのなら
その言葉の意味を知らぬなら
なんてあわれな、ひとり子

ああしかし、私は
ただこの子のためになら
まだ祈れるだろうか?
男と女、二つの自然が
無事にしあわせで
結ばれてあらんことを、と
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