真っ当な鎮圧/ホロウ・シカエルボク
る、上手くやっているつもりでもどこかで乱れている、まっすぐ進んでいるつもりでもいつの間にか蛇行していたりする、人間にとって一番不味い酒はどれだけ年月が経っても何ひとつ変わらずに毎日訪れる日常そのものだ、どうなっているんだ、と自我は暴れ出す、ここから出せ、と完全な殺意で内壁を蹴り上げる、それは全身の筋肉を震わせ、骨にまでダメージを与える、さあ来いよ、と唾を吐いて睨む、俺にとって一番厄介な相手、まるで呪いに縛られた村のように、そいつをなだめながら暮らし続けている、痛みに挫け、震える一方で俺はそいつが自分の中で苛立ち続けていることにどうしようもない喜びを覚える、苛立ちがあることは確かに生きていることの証
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