蒼い目の夢 /月乃 猫
悲しみを孕む
十三夜の月の満欠け
喧噪に街猫が 見る
自らの影の先に
山里を住みかの やせたクロネコは、子猫の蒼い目をうしなわず
それでいて寂しさをたたえ
まなざしは 紛うことなく 月の光をはなつ
夢
階段のしたのねぐらに
細いヒールの音を響かせ
女たちは化粧の香りを たばこのけむりにのせては、
雌猫にきまぐれにえさをやる
寂しさを 生きとし生けるものたちは、分配してきた
忘れられぬ夢の その行き着く先をもとめ
山里への旅たち、ネオン灯の 喧噪の夜を別れ
ここには生き物をいつくしみ、
家の陰に 甘い鳴き声はもとめ合う息を吐く
雌猫はひとり
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