蒼い目の夢 /月乃 猫
 

悲しみを孕む
十三夜の月の満欠け

喧噪に街猫が 見る
自らの影の先に
山里を住みかの やせたクロネコは、子猫の蒼い目をうしなわず
それでいて寂しさをたたえ
まなざしは 紛うことなく 月の光をはなつ


階段のしたのねぐらに
細いヒールの音を響かせ
女たちは化粧の香りを たばこのけむりにのせては、
雌猫にきまぐれにえさをやる 
寂しさを 生きとし生けるものたちは、分配してきた

忘れられぬ夢の その行き着く先をもとめ
山里への旅たち、ネオン灯の 喧噪の夜を別れ

ここには生き物をいつくしみ、
家の陰に 甘い鳴き声はもとめ合う息を吐く

雌猫はひとり
[次のページ]
戻る   Point(6)