朝のこない街/栗栖真理亜
 
薄暗がりの騒がしい街はそのまま闇に包んで締め付ける
震えと涙と諦めとやり切れぬ思い
手のひらを伸ばしても何も掴めず溜息は白く翳む
薄ら寒い空気が私を嘲笑い雑音を撒き散らして取り囲む

陽射しが
私を射るような陽射しが欲しい
冷え切った身体を温め溶かし込む柔らかな陽射し

願いなどこの夜には届かぬことは知っていた
伸ばした手はいつか火傷するだろう
醜く赤黒く変わり果て蒼白く俯いた朝は夜に紛れて逃げ去った
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