空洞/若森
 
僕は死んでいるのかもしれない
電気はもう通らなくなってしまった
水はもう流れなくなってしまった
重力はもう働かなくなってしまった
僕が生きているということを君は証明できるかい
全てを破壊したって構わないが
この空洞だけは破壊することが不可能だ
世界の終わりのような青空の中心で
クッキーでも食べながら空洞でいようぜ
だから破壊する必要はないんだ

僕は簡単には死なない
子どもの手から風船が離れることはない
おもちゃが壊れることはない
パンが焦げることはない
僕は空洞を破壊してまで
今すぐ走り出したい
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