それは静かにゆっくりと燃え上がり、また、しばらくは燃え尽きることが無い/ホロウ・シカエルボク
遠い夜が囁いている、朽ち果てた自我の向こうから、悲しみは樹氷の様に凍てついては煌めき、気の早い遺物となってぐずぐずと生き残る、それは叫びだったはず、それは叫びだったはずなんだ、夜のようだったが薄明るかった、時間などどこにもない世界なのかもしれない、俺自身の感情はあまりきちんとは理解出来なかった、しいて言うならすべての要素が混然と存在していて、そのせいで朦朧としていた、戦場で生き残ったものがこんな気分になるのかもしれない、とはいえ、それを確かめる方法などなかった、それはほんの一瞬脳裏を過った妄想に過ぎなかった、どこにあるんだ、何かを探していた、でもそれが何かはわからなかった、すべてに霧がかかって
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