最期の息/服部 剛
 


ベッドから身を起こして
時計を見ると
深夜の2時50分でした

スマホを手に取り
「weep」という文字を検索すると
「悼む」という意味でした

例文のひとつ が目にとまりました
「私は幸せの涙を流す」
──その時
ダウン症をもつ息子は、楽しげに笑い
隣の妻もぽつんと、寝ごとを言いました

晴れの日も雨の日も続く人生の旅路で
人は歓びの涙を流す
1/30000日を目指して
明日を歩いてゆくのかもしれません

そんな予感を胸に
もう一度
僕は寝床に入りました












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