最期の息/服部 剛
 
ある晩に見た夢の中で
僕は詩人es(エス)に
なっていました

92年の生涯の最期の夜で
33937日目のことでした

おじいさんになった詩人は
細い息をゆっくり
繰り返していました

うぃーぷ
うぃーぷ
???
weep??
weep

オノマトペの
呼吸のひとつが
人生の最期の
ひと呼吸であるように

うぃーぷ

weep??

なぜか細い銀色の水道管が見えて
細い管を大事になでるように

今にも息のとまりそうな、その瞬間
僕は目を覚ましました

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