水草/這 いずる
わたしはこんなんじゃなくて、
私は暗くて酷くてどうしようもない女なのに
私、私は息をする度に息苦しくなる
陸地で嘘で溺れていく
私くるしい
という一言が口に出なくて
私、かなしい
という泡沫は伝えられても
けど充分じゃなくて同情を引くようなもの
私はいつまでも
子供じみた駄々の
伝わってほしい伝えてほしいを
苦々しく思っている
水上に憧れる水草みたいだ
目を滑る水が
苔を濡らしますよう
雨垂れが
いっそのこと石を穿つ
ような鋭さを持って
人の心を打つことができたら
報われた気持ちになると
邁進してきたのに
生きている間に残せもしない
証に執着して
人であることを無駄にしてきたのだろう
今すぐ身を投げたらニュースくらいになるだろうか
今すぐ抱きしめられたら気持ちが安らぐか
虚無の根源は
私であることに起因して
身を減らして泡沫になるまで
終わりのない
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