(17才の詩) 女/リつ
 
一枚一枚
化粧を剥がしてゆく
薄明かりでの
素顔の

長く
せつない苦悩が
女の顔に
重く
厚く
こびりついている


女は
微かに溜め息をつく
鏡の中を
じっと見つめる
裸電球が
ゆうら、ゆうら、
揺れて
影が長くなる
目を固く閉じて
顔を伏せる
瞳の中には
悲痛な呪いがあった


丹念に
濃く
素顔を塗りかため
鏡の中を見入る

にっこり 笑う
悲しみも恨みもなく
ただ
造られた美しさだけが



だが 女の瞳
それは
明るい
イミテーションでしかなかった



       昭和60年2月5日 発行
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