反バベル/
岡部淳太郎
でも夢に見る
かつて僕たちみんなが集まって
とおい洪水の記憶に脅えて
それでも集まることで
天にまで共通の言葉を届かせようとしていた
あの日々のことを
いまこそ 僕等は集まろうと思う
僕等は一人ずつ散らばったままでは弱すぎるから
大きなものに脅えることなく
自らの内の光を感じて
もう一度だけ互いの言葉を一つにしようと試みよう
それこそが
奢ることのない
僕等自身の弱さを確認したうえでの
新しい信仰である
(2025年5月)
戻る
編
削
Point
(4)