春のあわい/塔野夏子
 
君と私の
淡いあわいに
  泡のように
  浮かんでは消える
  気持ち を
春
 小径の菫
 曲がり角のスウィートピー
  淡いあわいに
  浮かんでは消える
  泡
   泡
    泡
  のような気持ち を
雲雀の声
頬白の声
    君と私の
    淡いあわいを
      あわれ
      あの日の重い記憶が
      よぎっても
    泡
     泡
      泡
    のように気持ち を
    春
    磔にしてしまった
    夢に
      ララバイを
      小さな雨
      かすかな風
      君と私の
      淡いあわいに
      浮かんでは消える
        泡のような気持ち は
        合わさって
      しゃぼん玉になって
      漂ってゆく
        その彼方にいつしか
        淡い春の虹
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