介護/栗栖真理亜
 
脊椎管狭窄症となった母
腰から足先までの痛みを訴え
起き上がることも座ることもままならず
歩けば足を引きずっては立ち止まり
痛み止めを強いものに変えてもさほど効果なく
右足にきつく巻きつけられたサポーターが痛々しい
年を経る毎に足も目も耳も完治不能の病に見舞われ
母はこんなはずじゃなかったのにと弱気になる
付き添う私も娘として気が気ではない
どうしてこんなことに
徐々に進行してゆくはずの病は突如母を襲い
自由を奪った
少ない年金を補うための仕事も
生き甲斐としていた趣味の合唱も奪われた
母は精神的に不安定になり
行方不明の弟を想い浮かべ涙するようになった

私ので
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